2018年3月10日土曜日

風呂上がりにパンツを履く時間があるならInto the Breachをプレイしろ

ケツも洗わなくていい。





というわけでInto the Breachの記事です。
国内外のユーザー&レビューサイトで軒並み高評価を得ていて、Steamのメタスコアも90点越えという”間違いない”作品にしか到達できない域に達している本作。

昔ほど積極的にゲーム情報にアンテナ立ててない僕にすらその評判は届いてきて気になってはいたものの、スクリーンショットやトレーラーを見ても斬新なシステムや超美麗グラを推してるわけでもないのでいまいち面白さが伝わってこず、
『何が世界のゲーマーたちを夢中にさせているんだ?そんなに面白いのか?』
とやや懐疑的だった。

とはいえストラテジー系ということでXCOMやCivみたいな中毒性があるんだろうと予測できたし、その2作は大好きな作品なので試してみる価値はあるだろうと踏んで購入。



結論から言うと夢中になったしめちゃくちゃ面白い。



今やすっかりデジタル筆不精と化した僕がこうして記事を書いて少しでも多くのゲーマーに面白さを発信したくなるくらい、このゲームはプレイヤーを虜にするアレとかアレがぎっしり詰まっていた。


ー目次ー
1.気づいたら全裸のまま1時間経ってた
2.パンイチでもコーヒーは美味しい
3.暖かくなってきたから裸でも結構過ごせる
4.そもそもお風呂に入りたくない
5.دخول الحمام ليس كالخروج منه









1.気づいたら全裸のまま1時間経ってた


では本作を紹介していこう。



本作は8×8のマップ内で3体のユニットを操作するターン制ストラテジーで、地中からぽこじゃか現れる敵ユニットと戦いながら指定されたターン内を生き残るとミッションクリアとなり次のステージに進んでいくというルールの、まぁよくあるSLGっすね。

マップ内は味方ユニットと敵の他に、防衛対象となる施設や森林や山岳、自然現象による地形変動といった色々な要素がランダム生成で配置されていて、施設が破壊されると市民が殺され、画面左上のパワーグリッド(いわゆるライフ)が減少。
パワーグリッドが0になるとユニットは活動停止、敵の侵略を阻止できずゲームオーバーとなってしまう。

特徴的なのは、敵の攻撃先や出現ポイント、雷や津波、地割れの発生地点など、次のターンで起こること全てが視覚化されている事。
そしてほとんどの味方ユニットは相手の位置をずらす手段をもっており、これを組み合わせて戦略を組み立てることが本作の重大なポイントとなっている。

それらの情報をもとにうまく味方ユニットを動かして、敵ユニットを1マスずらして同士討ちを狙ったり、施設を狙っている敵の前に身を投げだして射線を遮ったり、ぶん殴って黙らせる以外の方法も様々。

↑施設を狙う敵の前に別の敵を押し出し、射線を遮りつつ同士討ちを狙う図

マップごとに敵を7体倒す、特定施設を破壊されない、列車を守る…などといった副目標も設定されており、それらを達成した状態で指定ターンを生き延びることができればパワーグリッドが回復したり通貨代わりの信頼度ポイントが貰える。

信頼度ポイントは非常に重要で、ボスマップクリア後に装備品やリアクターと呼ばれるスキルポイントのようなものと交換できる。
しっかり集めてユニットを強化していかないと後半のマップ攻略は難しいものとなるだろう。

マップ生成から敵の配置、副目標、その周回で入手できる装備品などのランダム要素は高いリプレイ性を生み出しているが、戦闘パートにおいては命中率などのネガティブな確率を極力排しているのでトドメの一撃が外れて戦略が台無しになるストレスは本作には無い。
逆に施設の防御率というものが15%程あり、たまにダメージを0に抑えてくれる。
考えを張り巡らせて手を打ち尽くしたけどどうしてもこの建物への1ダメージは防げそうにない…という状況の時に発動すると嬉しい要素となっている。






64マスのマップの中で4体とか5体、それ以上の敵がそれぞれ自機や施設を狙ってくる。
施設を守り、副目標も狙い、指定ターンを生き残るために悩んで悩んでいるうちに、あっという間に時間が過ぎていく。

一見絶望的に見えても、どこかに最適解があるはず。

そんな風に頭をフル回転させている時間がとてつもなく楽しく感じる。

詰将棋のようで、XCOMのようで、Civのようで、どのゲームでもない…。
これこそがInto the Breachでしか味わえないまったく新しいゲーム体験だ。






2.パンイチでもコーヒーは美味しい


ある日地底から現れた侵略者"Vek"により壊滅的打撃を受けた人類。
すでに人類の生存圏は4つの島のみに狭められ、島を所有する企業によってわずかな防衛線が張られているものの壊滅は時間の問題、というところに未来からやってきたというタイムトラベラーが登場。
タイムトラベラーはそれぞれ個性的な能力を持つ3体の機体で構成されたMech分隊を率いて、破滅の未来を変えるべくVekと戦いを繰り広げる。

というのが簡単なストーリー。

タイムトラベルがプレイヤー(指揮官?)の能力なのか、ゲーム内のパイロットが時間旅行できるのか、未来の最新兵器なのかは詳しい物語が展開されるわけではないが、戦闘中にパイロットが発するちょっとしたセリフや登場人物の会話の節々から暗い背景を推し量ることが出来る。




とにかくこのタイムトラベルがメインの要素となっていて、Vekに蹂躙されゲームオーバーとなっても、パイロット一人だけをタイムトラベルさせて最初からやり直すことができる。
選んだ一人は戦闘で得た経験値をそのまま引き継いでニューゲームが出来るという、オール・ユー・ニード・イズ・キルを彷彿とさせる設定。

見事Vekの脅威を打ち砕いて平和を取り戻しても、一人だけタイムトラベルさせて戦いを続行させることも出来る。
次の時間軸へ、次の次の時間軸へと赴き、未来を変え続けるのだ。


こんな感じでリプレイ性の高いゲームシステムと設定を上手にリンクさせてて個人的に好感度爆上げ。


ちなみに攻略途中でも今の時間軸を見捨ててタイムトラベルする"リセットボタン"的なものもある。
残った2人の仲間も、わずかに生き延びてVekの恐怖に震えている人々すべてを置き去りにして、次の時間軸でまた頑張ろう。
今度こそ世界を救ってくれますか?





3.暖かくなってきたから裸でも結構過ごせる







現時点ではテキストはすべて英語。
だけど↑のように、武器や能力にカーソルを合わせればアニメーションで効果を説明してくれる。
チュートリアルも丁寧だし、前述のように短いテキストが中心となっているので英語がまったく読めなくても問題なくプレイできると思われる。




このゲームボーイアドバンスみたいなドットアニメーションも非常によく出来ていて、各UIもわかりやすくとっつきやすい仕上がり。
難易度設定の巧さはもちろん、操作もサクサクで止め時が見つからない。
BGMや効果音ひとつとっても手を抜いていないのがわかる。
開発元のSubset Gamesは前作FTLを出してから本作を丸6年開発していたわけで、この8×8の世界を絶妙なバランスに仕上げるのにどれほどの労力を注いだことだろうか。
クリエイターの執念のような、魂のようなものを感じずにはいられない。





4.そもそもお風呂に入りたくない




戦闘開始時、稀にタイムポッドと呼ばれるサイヤ人の宇宙船みたいなモノが落ちてくる。
これはいわゆる救援物資で、ユニットを重ねて保護するか戦闘終了時まで敵の攻撃に触れさせなければ中のアイテムを手に入れることができるので絶対狙っていきたい代物。





ドキドキワクワクのOPEN DOORタイム。
リアクターとか、追加パーツとか、固有グラのパイロットが入ってたりする。

これ、ただの補給物資だと思ってたんだけど戦闘に参加してるキャラクターによっては
「また一つ、世界が失われた…」みたいなこと言うんですよ。
つまり、別の世界線で失敗したトラベラーが今際の際に希望を託してこの世界線に飛ばしてくれたタイムカプセル兼脱出ポッドなんですよ。
こういう設定も燃える。





ミッション中は味方3vs敵たくさん、さらにこちらは防衛対象もあって基本的に劣勢。
生き残るためにはマップの隅から隅まで活用しなければならない。
森林マスは攻撃すると炎上するし、敵出現ポイントは上に乗れば1ダメージと引き換えに沸き潰しができる。
歩行タイプのVekは水に落とせば即死だし、ダムを壊せば…




川ができる。

ダイナミックなマップ変動とそこから導き出される新たな戦術に脳は活性化され続け、寝かせてくれない日々が続く。







用意されている分隊は8種類で、最初に選べるのは近接・タンク・四脚迫撃砲の三機で構成されたリフトウォーカーズ隊のみ。
周回中に様々な実績を達成することでポイントが加算され、そのポイントを消費して新しい分隊をアンロックできるという仕様。
ランダム部隊やカスタム部隊も作れちゃうので無限に遊べちゃう。仕事、やめよう!





5.دخول الحمام ليس كالخروج منه


アラブの諺に、『風呂に入る前と出た後は違う』というものがある。

お風呂に入る前は身体は汚いが、出た後は綺麗になっている。
扉を開けて入った人間と出てきた人間は同じ人物だが、自らの行動によって新しい自分を得ている、という意味だ。

人は経験を積むことで成長する。

そう、この諺は、何度失敗しても諦めないで戦い続ければトラベラーだけでなく、その経験によってプレイヤー自身も磨かれていきいつか必ず勝利を掴むことが出来るというInto the Breachのゲーム性そのものを表現している名文なのだ。

一見地味な見た目のゲームではあるが、その小さな世界にはクリエイターたちの本気のこだわりと、プレイヤーを悩ませ、失敗させ、世界を蹂躙し人類の未来を奪おうとするVekたちがぎっしりと詰まっている。

とにかく気軽に始められる作りかつ骨太なゲームプレイが楽しめるのでシミュレーションゲーム愛好家はもちろんのこと、退廃的なSF設定に惹かれた人、メカでシコりたい人には問答無用でオススメできる。





さぁ、覚悟を決めて世界を救う戦いへ赴こう。
Go to steam, Let's 開発。


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