15世紀初頭、神聖ローマ帝国。
皇帝カール4世の下で栄えた帝国は、今や混乱を深めていた。
大シスマと呼ばれるカトリック教会の分裂に加え、新たなボヘミア王となったカール4世の息子ヴァーツラフは後に『怠惰王』と呼ばれるほど自堕落な生活を続けている上に失政を重ねており、腹違いの弟であるジギスムントとの国中を巻き込んだ王位継承争いは避けて通れるものではなかった。
まもなく火縄銃が発達し、剣と弓の時代が終焉を迎える中世後期。
これは、そんな暗黒時代を生き抜こうともがく一人の若者の物語である。
そんなわけでハルトッシュの冒険の始まり。
前回あまりにもさらっとスカーリッツ村が焼かれる話をしてしまったけど、それに至るまでに描かれる日常を紹介しないわけにもいかないので改めて追っていこう。
日もすっかり上った頃、ママに起こされ大あくびしながら目覚める僕。
どうやら昨日も夜遅くまで遊び歩いていた模様。
朝ごはんを食べたらお父さんを手伝ってあげなさい、と母。
ガタがきはじめた身体の痛みに耐えながら頑張っているんだから、とまで言われたら手伝わないわけにはいくまい。
厳格でありながらも愛情に満ちた父、マーティン。
ふらふらと遊び歩く僕を厳しくも優しく諭す。
鍛冶師である父の仕事っぷりは領主様も一目置くほど。
今日はそんな父の手伝いでいくつかのおつかいを頼まれた。
実は最近、村にふらっと訪れた旅人のヴァニエックさんから家族にナイショで剣術を習ってます。
怪我した左手に包帯巻いてたのをママにばっちり見られているので既にバレてますが…。
ヴァニエックさんの詳細はわからないけど、見ず知らずの子供に無償で稽古つけてくれるくらいだから親切な人なんだろう。
そんな彼も今日でスカーリッツを旅立つのでこれでお別れ。
僕が旅を始めたらどこかで会えるかもしれない。
さて、父から頼まれたおつかいのひとつが『木炭を一袋ぶん買ってくる』なんだけど、買うためのお金は現地調達しろとのこと。
というのも、↑に写ってる村一番のクズ野郎クネシュ氏に以前ハンマーやら釘やらを売ったものの未だに代金を払ってもらえてないらしいのでそのお金を徴収するか、最悪それらを回収して交易所で現金に変えてしまえというオーダーです。
穏便に済ませようとしたけど、借りた金を返さない奴特有の逆ギレが炸裂し交渉決裂。
挙句の果てには作り手である父を泥棒扱い。
こうなっては仕方ない。少し痛めつけて、『現実』を教えてやるか……。
ボコボコにされました。
市場に買い出しに来ていたママとばったり会ったので赤子のように泣きわめく。
何か別の手段を考えねば。
酒場がやけに盛り上がっていたので顔を出してみると、いつもの悪友たちが揃っていた。
視線の先には……。
政治論を語る、ドイツ人商人のドイッチさん。
現王ヴァーツラフの怠慢さを痛烈に批判し、王と対立する異母弟ジギスムントの肩を持っている模様。
それをいなす村の執行官。
この村を治めるラジック卿はヴァーツラフ王に忠誠を誓っており、軍の最高司令官でもある。
そんな彼のお膝元で現政権を批判なんかしたら鞭打ち刑になっても不思議ではない。
積極的に政治に参加する若者たち。
というわけでドイッチさん家の真新しい壁に糞を塗りたくることにした!
反逆者への罰は色々考えられるが、お忙しい執行官のお手を煩わせるわけにはいかない。
ここが我々若者が率先してやろう。
ドイッチさんの息子のハンスが家来と一緒に帰ってきた。
ブチ切れるハンスくん。
反逆者の息子は態度がデカいなぁ。
上の、どことなく有田に似てるのが悪友のひとりフリッツくん。
下の画像は左からハンスくん、ズビシェクくん、カットシーンが終わると顔が変わるモブです。
ズビシェクくんは川沿いの粉ひき所に居候している若者なんですが、仕事のできない怠け者として嫌われているザ・無能。
再び登場するのでぜひ覚えておいていただきたい。
フリッツくんの投げた糞ボールが顔面に命中してキレるズビシェクくん。
喧嘩だ喧嘩だ!!
元気があってよろしい。
ステータスや素手スキルを上げるチャンスなのでたくさん殴っておく。
その後、駆け付けた衛兵から逃げるために村中を走り回り、いつもの場所で再集合。
いつもの場所とは借りパク野郎クネシュ氏の家の裏。
ちょうどいいので、みんなに助力を頼むことにした。
僕らは同じ糞を握り合った仲。村に巣食うダニを退治するのに躊躇する奴はいない。
4人でタコ殴りにしてチェストの鍵を差し出させ、ハンマーと釘、それと奴の商売道具の薪割り斧も没収して換金した。
これで木炭が買える!ありがとう友よ。
冷えたエールをピッチャーで買ってくるようにも言われていた。
酒場で働くモブ顔のガールフレンド、ビアンカにも挨拶。
市場での買い物はこれで終わりだけど、頼まれていたおつかいはもう一つ。
城に立ち寄って剣に使う柄を受け取ってこいとも言われていたな。
幸いにして家と城は目と鼻の先。
帰り道に寄っていこう。
目的のブツは門番が預かっていたみたいですんなりと渡してくれた。
よし、これでおつかいは終わり!エールがぬるくなる前に帰ろう。
準備はできた。楽しい工作の時間の始まりだよ!
サーザヴァ(プラハの郊外にある、修道院の周りに作られた町)の職人が作った鍔と柄頭の出来栄えに唸る父。
炉に火を入れていると、先ほどの糞壁事件を咎められる。
当然ながら怒られる。
客商売をやっている父にしてみれば、息子が晒し台に繋がれるのも、ドイツ人商人との取引が無くなるのもメリットがない。
もちろんそれだけではない。
父は、自分の行いに責任を持ってほしかったのだ。
そして、安易な暴力などに頼らず対話をもってして解決してほしいと真っすぐに語った。
我が父ながら謎が多い。
首都である『黄金のプラハ』から片田舎であるスカーリッツに移ってきた理由も、傑作を生みだす刀剣職人でありながらもそれを隠すように蹄鉄作りに勤しんでいるのも…。
父はきっと色々な世界を見てきたんだと思う。
だからこそ、僕の冒険への好奇心にも理解を示しつつも、危険な目に遭ってほしくないという気持ちが勝る様だった。
確かに現王は先代の王に比べると劣っているかもしれないが、ジギスムントよりも遥かにマシだという父。
そうこうしているうちに剣も形になってきた。
と、お客さんがきた。粉ひき所の娘のテレサだ。
注文されていた釘を渡す。
立ち去る間ずっと尻を凝視する僕。
9割方完成!
握りの具合を確かめて、切れ味を見てみる事に。
父も納得の出来栄え。
再び来客。そこに現れたのは領主であるラジック卿。
2人は昔から面識があるようだ。
どことなく親しさすら含まれている気もする。
切れ味の鋭さにご満足いただけた模様。
お前もやってみるか?と剣を差し出されたので挑戦!すでに腰が引けている。
ぽこんと当たって枝が倒れた。
息子には剣術よりも商売を教えるつもりです、と父。
頷きながらも、この先何が必要になるかわからない、と剣を見据えるラジック卿。
隣にいらっしゃるのはイストヴァン卿。サーザヴァから来たらしい。
父の過去について含みを持たせた言い方をするラジック卿。
最後の仕上げを終えたら城に持ってきてくれ、と言い残し去っていく皆様。
ラジック卿とのやり取りの後だと余計に気になる父の過去。
それでもはぐらかされて何も教えてもらえなかった。
剣術を習っていることと、外の世界への憧れを改めて表明する僕。
剣術なんか習っても門を出た瞬間に弓で射られて死ぬかもしれないんだぞ、とまるで見た事があるかのように凄む父。
父は、こののどかな村で一生を終えるつもりだという。
家の傍に立つ菩薩樹の下に母と一緒に眠りにつければそれでいいと…。
もちろん僕だって、その辺で野垂れ死ぬのと比べたらそっちのほうがマシなのはわかる。
それでも…。
と、そこに早馬が。
どうやら伝令が大慌てで城に向かっているようだ。
ふと、伝令が来た方向に目をやると……。
嵐がやってきた。
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