2020年9月10日木曜日

としの夏休み自由工作 ~Kerbal Space Program~ その4


いよいよ月を目指すことになった弊宇宙センター。
地上から飛び出した舟が星々の大海を横切り別の星へと辿り着く…。
太古の昔から人々が想像していた夢物語が、今現実になろうとしている。


周回軌道に入るのとは比べ物にならないほどの燃料が必要になるだろうし、それに伴う機体の大型化も必須。
新たにアンロックされたパーツも駆使して人類初のミッションに挑んでいこう。






まず目標である月…カーボル星系ではムン(MÜN)と呼ばれている衛星だが、いくつかの特徴がある。

・低重力
・大気が無い
・真円軌道を描いている

現実世界の月と近いが、ゲーム的に多少シンプルになっているといった感じだろうか。
カーバル宇宙センターは赤道上にあるので真上に打ち上がればムンの軌道に入ることができる。


また、カービンとムンの距離は常に一定なので打ち上げのタイミングは考えなくても大丈夫だ。(宇宙センター視点だと惑星直径分の距離の差はあるが)

ムンの重力はカービンの約1/6。大気が無いのでパラシュートで着陸することはできないが、エンジンを吹かしすぎると簡単に浮き上がってしまうだろう。


これらを踏まえカーバルたちと相談した結果、『燃料がたくさん必要!』という知見を得たので設計の参考にしていく。







さて、組立の前にまずは現実世界における月探査の歴史を復習しよう。




人類史上初めて月に降り立った人工物は、ソ連の人工衛星ルナ2号だった。

宇宙開発競争初期、1959年1月に月の軌道を通過したルナ1号(地球の軌道から離れた初の人工衛星でもある)の打ち上げから8か月後に打ち上げられたルナ2号は見事月面に衝突し、その1か月後…1959年10月に打ち上げられたルナ3号は月を半周し、世界で初めて『月の裏側』を撮影することに成功した。

1966年にはルナ9号が月面への着陸を成功させ、月に立てることを証明。
(それまでは月の表面に積もった塵の層に沈んでしまうのではという懸念があった)
続いてルナ10号は月の軌道周回へ到達し、バッテリーの消耗による電力不足に陥るまで460回も周回して様々な観測成果をあげた。

アメリカも1966年~1968年にかけて無人機の軟着陸を成功させているものの、宇宙開発競争においては人類初の偉業を次々と達成しているソ連が1歩リードしている…というのが当時の状況だった。




しかし、1969年7月20日にアメリカのアポロ11号が史上初の有人宇宙船の月面着陸に成功。
ニール・アームストロング船長とエドウィン・オルドリンは初めて月面を踏みしめた人間となり、みなさんご存じの
「これは一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ」
というアームストロング船長の言葉は、月面に残した足跡と共に今なお色褪せることなく語り継がれているスペース名台詞の一つ。


このアポロ11号の成功によって宇宙開発競争の盛り上がりは絶頂を迎えると同時に決着。
その後は人々の関心も緩やかになっていき、1972年12月に打ち上げられたアポロ17号以降、有人月面着陸は行われていない―。
(参考:Wikipedia - 月探査  アポロ11号)








というわけで人類は50~60年ほど前に月に降り立っている。1960年代、イベント詰め込まれすぎ。
冷戦下で緊張が高まる中、前人未到の銀河へ飛び出し月に足跡を残して帰ってきた宇宙飛行士たちが世界にもたらした影響は計り知れない。





弊宇宙センターもルナ計画とアポロ計画を参考にして、まずは月の軌道到達を目指す宇宙船を開発していくことにしよう。

ムン軌道到達に関してはそこまで複雑なものではない気がする。
カービン軌道周回に入れたさとし6号に燃料をガン積みすればいいだけだろう。
そんなカーバル的ガバ理論で組まれたのがこちら。






さとし11号。(7~10号は爆発した)
燃料を積めば重くなる。
重くなった分エンジンを増やす。
エンジンを増やして重くなったのでさらに燃料を積む…を繰り返し、月往復分を確保した。







さっそく打ち上げ。

何となく飛ばしていたロケットだが、効率よく周回軌道に乗せるためのテクニックがある。



今まで垂直に打ち上がったあと水平方向に加速していたわけだが、この方法だと宇宙に出るまで重力の影響をモロに受けてしまう。(重力損失)
















じゃあ最初から真横に飛ばせば良いのだが、それはそれで大気の影響を受けるしそもそも現実的では無い。



















というわけでこれらの中間、斜めに飛ばしていく。
大気の影響が薄くなる高度まで垂直~斜めに打ち上げ、徐々に機体を傾けていく。
高度60~70km地点で機体を完全に水平にし、そのまま第一宇宙速度まで加速させる。

弧を描くようにロケットを打ち上げることで重力と大気の影響を軽減させて燃料消費を節約できる。
これを重力ターンという。

MacBook Proで作成しました










さらに、周回軌道に乗せるロケットは東に向けて打ち上げる方が効率が良い。
惑星の自転速度にロケットをタダ乗りさせることで燃費が浮く。
これを自転に逆らうように、つまり西側に飛ばして周回軌道に乗せようとすると2倍の燃料が必要になるとか。
詳しくはJAXAに聞いてくれ!







ロケットに積める燃料は有限。
月を目指すにしてもその先を目指すにしても、無駄を省くことは大切だ。
『宇宙の仕組み』を味方につけていこう。












そんなわけでカービン周回軌道に到達。左上にある●がムンだ。




ここから月に行く方法だが、以前説明した周回軌道の画像を思い出してほしい。


今我々がいるのがCの線。第一宇宙速度に達したことでここまでこれた。
地球を離れて月に行くのだからEの線…と思いがちだが、そこまでブースターを吹かす必要はない。
ここで目指すはDの線だ。






適度に加速して周回軌道を楕円形にしていくと、Dの頂点が月の軌道と重なるタイミングが現れる。











この軌道でムンに接近するとどうなるか。
カービンの引力が弱まりロケットはムンを中心とした軌道へと変わる。
それでも速度は保たれたままなのでいつかはムンの引力の影響範囲から脱出し、再びカービンの周回軌道へと戻る。

そこで描かれるカービン周回軌道は最初とは比べ物にならないほど大きく、ともすれば更に遠くに行けそうなほどの楕円となる。



これがスイングバイである。




























いやスイングバイしちゃダメじゃん。
ムンの周回軌道に入るんでしょ。









2個上の画像で言うところの3、スイングバイバイする前のムンに最接近するタイミングで逆行に加速、わかりやすく言うとブレーキを踏む。
そうするとムンから飛び出そうとする力が弱くなっていき、最終的にはムンの引力影響下に留まる。
つまり、ムンの周回軌道に乗る。












ムン、到達。
我々はアポロ8号が成し遂げた有人ロケットによる月の周回軌道到達と同じ偉業を達成した。















あんなに遠くにあったムンが目の前に。











今回はここで引き返すことになる。
周回軌道上で出来る実験を色々やっておこう。
着陸するためには専用の設備やさらに大量の燃料が必要だ。今回のフライトの感覚を忘れずに持っておこう。












記念撮影。
名残惜しいが再会を約束して軌道から脱出した。














カービンへの帰還は(燃料さえ残っていれば)簡単。
ムンに向かった時と逆の手順を繰り返すだけだ。










初の衛星到達ということで得られたサイエンスポイントもバカでかい。
これを使ってさらに大型のロケットを造っていこう。

次回、いよいよ月面へ。




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