2020年11月25日水曜日

すべてが稲になる ~The Perfect Rice-farmer~ #天穂のサクナヒメ


天穂のサクナヒメをクリアしたのでレポするっす。

ゲームシステムの表面をサラっと撫でるだけの、ネタバレ無しで人畜無害な有機農法的感想文となっているので未プレイの人も安心。











Rice is Power(米は力だ)』の名文句を引っ提げて発売された本作は、横スクロールのアクションパートに加えて昔ながらの米作りを体験できる稲作パートが特徴の和風アクションRPG。

当初、ニンテンドーダイレクトで発表された時から雰囲気やBGM良くて気になってはいたんですがまぁ発売直後はスルーかなと思ってました。


なぜなら次の週にサイバーパンク2077が出る(予定だった)から…。


で、ご存じのようにまたまた延期してしまったせいで完全に11月の予定が崩れて気力も消失。

真っ白なカレンダーとスカした有休日をぼんやり眺めながらFalloutとかやってたんですが、

『このままでは心に空いた穴を埋められない。なんかゲーム買おう…』

と思って頭に浮かんだのがこのサクナヒメでした。

発売直後にSNSで話題になってた米作りパートのこともあったんですがどちらかと言うとメトロイドヴァニアなアクションに惹かれてて、こういうジャンルを久しくやってなかったっていうのも購入の決め手のひとつ。







で、『なんか面白そう』程度の動機でろくに調べもせずに買っちゃったんですが、結構後悔してます。







デジタルデラックスエディションを買えばよかった、と…。








面白い!!!!!

天穂のサクナヒメ、10000000点!!!!



僕がプレイしたゲームの中では珍しく誰にでもお勧めできるゲームです。

みんなお米好きだし、大神みたいな和風モノも大好きでしょ(偏見)。

そんなの合わさったら人類が好きな要素しかないじゃん。







アクションパートは軽快で気持ちよく戦えるタイプのもの。

弱攻撃と強攻撃で簡単に繋がるコンボと、武技と呼ばれる必殺技を駆使して群がる害獣たちをちぎっては投げちぎっては投げしていきます。

武技はテイルズみたいに必殺技ボタン+方向キーの4つに設定して使えるもので、これをコンボの中に組み込めるようになると戦闘が更に奥深く感じられて爽快感も倍増。

虎牙破斬覚えてバトルがめっちゃ面白くなった瞬間あったでしょ。アレです。


羽衣をスパイダーマンの糸みたいに伸ばして移動したり戦ったりする『羽衣アクション』は慣れれば縦横無尽に動き回れてこれまた楽しい。

羽衣で掴んだ相手を後ろに吹っ飛ばすとか、地面に叩きつけたりする羽衣技もあって、それも武技とは別に4つ設定できます。


ジャストガードみたいな技術介入の要素もあるし、使い込むほど強くなる技の成長要素もあって◎。








次は装備品。

弱攻撃で使う片手武器と強攻撃で使う両手武器、体装備に頭装備、アクセサリ枠のお面と、装備部位は5か所。

武器には斬・打・突・術の属性があって、敵の種類によってダメージボーナスがついたりつかなかったり。

装備品それぞれにステータスアップやアイテムドロップ率アップみたいな特性があるのと、装備品に付与することで特殊効果を発揮する"枝魂"…いわゆるマテリアがあるのでそれを組み合わせていく感じで、ギアとスキルの組み合わせは自由度高く、抑えるべきRPG要素はきっちり抑えてます。


枝魂で強化した装備と武技を駆使して次々とコンボを繰り出し、戦場を飛び回って無双するのは夢中で遊べて飽きがこない僕好みのもの。


しかし一騎当千の力は簡単に手に入る物ではありません。


それを可能にするのが、お待たせしました稲作を通して得られる『米の力』です。









我らがおひいさまことサクナヒメ。

細かい話は置いといてざっくり説明すると、良い米が育つほどサクナヒメも強くなります。


一般的(?)な神様が信仰されればされるほど元気玉理論で力を得るのと同様に、豊穣神の血を引くサクナヒメはお米の出来栄えが自身の能力に直結します。


色々あって稲作を始めることになるんですが魔法の力で米が育つわけでもなく、サクナヒメが出来ることは土を耕し苗を植えて、田んぼに水を引いたり、便所から汲み取った下肥を肥溜めに移したり余計な雑草を抜いたり…といった、我々のご先祖が行なっていたであろう伝統的な米作りそのものです。

土作りから初めて脱穀精米まで、1年かけてお米が出来るまですべてお世話をする、というのが稲作パートです。





冬の間にカチカチになった土に鍬を入れる田起こし、春の息吹と共に苗を植え、夏の日差しのなか地道なお世話を続け、そして待ちに待った収穫期の秋…。





しかしそれだけでは終わらず、刈り取った稲を干す稲架掛(はさが)け、稲の穂先から籾を落とす脱穀、籾殻を外す精米と、全11工程を経てお米を作るというシステム。











土の栄養や水の量による虫や雑草の発生、天候や気温、水温、与える肥料によって生じる稲の病気等々、上記の工程以外にも非常に細かい農業要素がシミュレートされているのも特徴。




開発者が実際に米を育てたり論文を読み漁ったりして作られたというこの稲作パートの底の知れなさはとてつもなく、


『夜の間は光合成が止まるので稲は生長しにくく土の栄養も減りにくい。夜の間だけでも水を抜いておく、もしくはかけ流ししておくと藻が発生しにくくそれら由来の病気になりづらくなる。ただし、水を抜くことで集めたタニシ等が流れていってしまうデメリットもある。』


といった感じのものから、


『その日の夕食に食べたものによって排出される糞の栄養分が変わるので肥料として使った時に上昇するパラメータが変化する』


なんてものもあり、更には


『しょっぱい料理ばかり食べると糞に塩が残って畑の塩害に繋がる』


なんて噂も…。








種まき水やり程度のものだった他のゲームと一線を画す農業システムを作りたかったという開発のこだわりが、この本格的すぎる稲作パートにはっきりと表れています。

その作り込みは従来の『冒険の合間に畑のお世話』などというおまけ要素を遥かに超えてゲームの中核へとなっているだけでなく、『身近にあるけど知らなかったお米のこと』をサクナヒメを通して我々に学ばせてくれるゲーミング歴史的文化資料と言っても差し支えないでしょう。

初めて収穫できたお米が食卓に並んだ夜はイベントで描写されるエモさとはまた違う感動を得られました。









SSを見てもらえばわかる通り、全体的な雰囲気は日本神話モチーフの和モノ。

大神とか俺屍とか、そういうのが好きな人はまず間違いなく刺さるでしょう。

んでもってBGM良いなあって思ってたら音楽がPerfect Vanityの大嶋啓之氏なんですよね。

これ気づいたのはエンディングのスタッフロールだったんで、この情報だけでも先に知っていればそれだけでサントラついてくるデラックス版を買っていただろうなという後悔。

僕が学生のころ…それこそMIDIとかの時代ですよMIDI。そのくらいから活動されてて自主製作のアルバム買ったくらい好きな作曲者で、BGMが良いのも大納得の人選。






そんなわけでみんなサクナヒメ買いましょう。
天穂のサクナヒメ、Steam/Switchで絶賛発売中です。



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