2021年9月30日木曜日

Medieval Dynasty プレイ日記 第1話 ~とびだせ 焼かれてる村~


世界立身出世Day!!

というわけでMedieval Dynasty
先日アーリーアクセスを終え正式版がリリースされたタイミングで記念セールをやっており、どハマりしてたMount & Blade 2がひと段落したこともあり購入。

魔法も無いモンスターもいないリアルな中世ヨーロッパの片田舎を舞台に、素寒貧の主人公が家を建て動物を狩り工芸したり農業したりして村を興し、ゆくゆくは自分の王朝を築いていく…というシングル専用オープンワールドサバイバル立身出世ゲーです。


設定的には去年プレイしたキングダムカム:デリバランスに近いものがありますね。

主人公の名前固定&キャラクリ要素無しというところも共通してるけど、あちらはストーリー主体のRPG、こちらはクラフト&ビルディングがメインというのが最大の違い。

一応こっちもストーリーはあるみたいです。



正式リリースされましたが来年までのロードマップも公開されておりまだまだガッツリ要素が追加されていく模様。

現時点ではFPS視点オンリーですが近いうちにTPS視点も追加されるそうな。



最近は立身出世ゲーばっかりやってますがシングルでやる建築サバイバルはConan Exilesぶりかな?

戦争が中心ではない農民ゲーっぽいのも他タイトルと差別化されてる感じで良いね。


春夏秋冬のサイクルを通して変化する美しい自然の中で中世スローライフを送れるということなので、戦争ばかりで荒んだ心を癒すにはもってこいの本作(想像です)。

たまにはこういうゲームをのんびりやるのもいいでしょう。早速立身出世していくぞ!








僕の名前はラシーミル。通称ラシトッシュ。

小さな農場を営む父と母と共に暮らす、18歳になったばかりのごく普通の一般人さ。

仕事は大変だけど少なくとも食べるものに困ったことはない

金持ちってわけではないけど生活が苦しいわけでもない…


そんな慎ましくも穏やかに流れていた日々は、どこぞのお偉いさん方が始めた戦争によって奪われてしまった。




焼け落ちる家、僕を逃すために犠牲になった父と母

全てを失い自暴自棄になりかけていたところ、ふと、以前母から聞いた叔父の存在を思い出した。








叔父さんは若い時に商人として成功し、今では戦争とは縁がない北の平和な土地で暮らしているらしい。

それは、両親を失い行く当ても無く彷徨うしかない僕にとっては最後の希望だ。








戦火を逃れ数週間、満身創痍ながらもなんとか生き延び森を抜けることが出来た。

そんな僕の目に飛び込んできたのは、豊かな自然に恵まれた谷、そして川沿いに立ち並ぶ家々…イオダン叔父さんがいる村『ゴストビア』だった。










厳しい時代だ。それでも、生きていかなくてはならない。
この場所で新しい人生を送ろう。いつか両親をきちんと弔おう。
そんなことを考えながら、僕は力を振り絞り歩み続けた。









『谷』の村は暖かく迎えてくれた。

見た目通りに素朴で平和。とりあえずは一安心といったところ。


村のはずれにある焚き火の周りには住人ではない旅人が集まっているようなので、僕のような放浪者も珍しいものではないのだろう。 


さて、叔父さんはどこかな?

そこまで大きな村ではないし村人なら名前を知っているだろう。とりあえずそばにいた中年の村人に声をかけてみることにした。











声をかけた瞬間彼は飛び上がるほど驚き、目を見開いて僕をじっと見つめてきた。

実は僕は片目が青、もう片方が黒のオッドアイ。

どうやらこの『谷』でもオッドアイは珍しいようだが、この反応は物珍しさから来るものだけではないらしい。

もう一度声をかけてみようと思った矢先、彼の方が先に口を開いた。


「幽霊…じゃないよな。良かった、頭がおかしくなったのかと思った。ハハハ…

 けど君の目は…君は、彼に似ているね」


彼?誰の事を言っているんだろう?


「えっと、はじめまして。僕はラシーミル。ここには着いたばかりでして…」


「あぁ、なるほど。君がラシーミルか。ワンダの息子だろう?イオダンから聞いたことがあるよ。私はウニゴスト。国王の命を受けこの土地の領主をやっているよ。会えて光栄だ。家族は元気かい?」



ワンダ、母の名だ。どうやらこの人は叔父と親交があったようだ。

僕は、ここに辿り着いた経緯をぽつりぽつりと伝えた。



「そうか…彼らはもう…。それは残念だ。君だけでも無事でよかった」


「ありがとうございます。ところで、先ほど叔父さんの名前が出てきましたね。ここにはイオダン叔父さんを探しに来たんです。叔父さんはどこに?」



「…ラシーミル、この状況で更に悪い知らせを伝えるのは本当に酷だが…君の叔父さんはもういない。イオダンは3年前に亡くなったんだ」




なんてことだ。頼みの綱の叔父さんまで亡くなっていたなんて。

これで僕の家族は全てこの世にいないことになる。僕だけが一人残されて…。





「辛い気持ちはわかる。イオダンは私にとっても大切な友人だった…。

 イオダンについて語りたいことは山ほどあるが、まずは君の住むところを決めよう」


「……そうですね。叔父さんの話はぜひ聞かせてほしいです。空いてる家はありますか?」


「ない」


「えっ」


「君にあげられるのは土地を借りられる権利だ」


「土地?権利?」


「まず道端に落ちてる石と枝を拾って斧を作りなさい」


「えっ」


「そしたらその斧で木を伐りなさい。丸太を積み、枝で壁を作ってから川沿いに生えてる葦で屋根をかけたらそれが君の家だ」


「えっ今から自分で建てるんですか?石器で?」


「村の敷地内および近隣に建てることは許されないので離れたところに建てなさい。土地の使用料は税金として王に納めることになっているから毎年持ってくるように」


「ちょ、ちょっと待ってください」


「ラシーミル、これはチャンスだぞ。税を納める限り…あとは盗みや殺人などの犯罪を犯さない限り、この谷全体どこをどう使っても良いんだ。この土地は沢山の旅人が通る。自分の家だけでなく、別の家や畑を建てて他の人を住まわせるのも自由だ。つまり君は自分で村を興してそこで農場を経営したり商売をしても良い。こんなことは普通の旅人には許されない。イオダンの甥である君だからこそこれを認めるんだ」


「…」


「家を建てたらそこの酒場に寄ってくれ。家内がやってる店なんだが、暖かい食事とビールを出すように言っておく。それを開けながら君の数週間の苦労を労いつつ、イオダンについて語り合おうじゃないか」


「はぁ…」










勢いに乗せられてしまったが何だか大変なことになった。

ため息をつきながら地べたに座り込みつつ、ウニゴストから貰った地図を開いてみる。






この『谷』は、二股に分かれた川を中心に草原、森、山が広がる広大な土地だ。

右下にあるのがゴストビアの村。地図によると他にも小さな村が点在しているようだ。

村の近くには家を建てられないというから川沿いを北西に進んだところに建設しようか。

水も確保できるし、各村とのアクセスも便利そうだ。


さぁ、ここで座っていても何も始まらない。覚悟を決めて、やってやろうじゃないか。









言われた通り石斧を作り一心不乱に木を叩く。何か考えるのは後にしよう。
疲れ切った身体に鞭を打って丸太を転がし、川辺にしゃがみこんで葦を引っこ抜きまくる。










ヘロヘロになりながらもなんとか丸太を組み上げた。
後は壁と屋根をつけるだけ。一気にやってしまおう。












で、出来た。すっかり暗くなってしまって全然見えないが、立派な家が建った。感無量。










内装はベッドにチェスト、そして焚き火と料理鍋だ。
家というには少し小さいが立派な住居だ。これならウニゴストも文句無いだろう。












泥だらけの身体を引きずりながら村へ帰還。
良かった、ウニゴストが言っていた酒場はまだ営業中のようだ。








ウニゴストの妻、ドブロニェガさんとお近づきになる。20歳近く年の離れた夫婦だがどうやら彼女がフケ専だった模様。
「話は聞いているわ」と温かい食事を振舞ってくれたあと、ビールを持たせてくれた。
数週間ぶりのまともな食事…涙が出そうなくらい美味しかった。

ウニは焚き火に当たりながら旅人たちと歓談しているらしい。
お腹も膨れたことだしさっそく探しに行こう。











「ウニゴストさん、やりましたよ。家も建てたし、ビールも持ってきました」

「よくやったラシーミル。さぁ乾杯しよう!」




何本目かのビールを飲み干し良い気分になってきたところで、ウニゴストは焚き火を見つめながらぽつりぽつりと語り始めた。

「…君の叔父、イオダンとは22年の付き合いだった。一番の親友、いや兄弟みたいなものだったよ。彼と出会った日のことは昨日のことのように覚えている」

「22年…ですか。僕が生まれるより前ですね」

「そうなるな。当時25歳だった私は、生まれ故郷であるジェレンバーグに住んでいた。ここに比べると大都会だが、私はそこがあまり好きではなかったよ。自分の面倒は自分で見なければならない街だったからな…。その時の私は…まぁあまり褒められたものではないが、生きるために必要なことをしていた。つまり、泥棒だったんだ」

「泥棒?あなたがですか?」

「あぁ、それもかなり優秀な、ね。特にスリが得意でね。君がステーキを食べている最中にフォークを盗むことだって出来るだろう。だが貪欲さ故に盗みを働いていたのではない。ただ生き延びるためだった。まぁ、その過程を楽しんでないと言えば噓になるが」

「動機はどうあれ、窃盗は犯罪ですよ!」

「そうだな。そう思うよ。で、だ。ジェレンバーグでは毎年デカい祭りをやっていた。外部の人たちをたくさん呼び寄せるようなね。私のような職業の人間にとって、それがどういう意味を持つかわかるだろう?一日分の仕事をあっという間にこなせたんだ。
今日はここらで切り上げて一杯やろうか…そんなことを考えていると、金袋をベルトに括り付けた貴族が目に入った。それと同時に、声が聞こえたんだ。
『自由にしてくれー!』って懇願する、ぎゅうぎゅうに袋詰めされた銀貨たちの声が。これは大変だ。一刻も早く囚われの銀貨たちを解放し正しい用途に使ってあげなければ。そう決心するのに時間はかからなかった。この日最後の仕事に相応しいと思ったね」



何だこの人は。ただのろくでなしじゃないか。僕は半ば呆れながらも話の続きを促した。
「それで、その偉大な大泥棒様はどうなったんです?」

「そんな目で見ないでくれよ。大丈夫、もうすぐ痛い目を見るから。
 で、いつものように人ごみに紛れて静かに忍び寄り、彼のベルトに手を掛けたその瞬間だ。顔面に牛が突っ込んできたかのような衝撃を受けて頭から吹っ飛ばされたんだ。
 殴られたと気づくまで少し時間が掛かった。腰が抜けて逃げることもできない。鼻を抑えながら顔をあげると、その貴族と目が合ったんだ」

「なるほど。鬼の形相をした貴族にしょっ引かれ大いに反省したと」

「ハハハ、違うよ…。笑顔だった。二つの異なる目を持つ男の顔には、大きく輝く笑顔があった。私が貴族だと思っていた男は君の叔父、イオダンだったのさ。」

「えっ、その人叔父さんだったんですか!?」

「そうだ。イオダンは手を差し出し私を助け起こすと、その場でビールを奢ってくれたんだ」

「叔父さんは、当然スラれそうになったことに気づいてたんですよね?
 それなのにウニゴストさんと飲み始めたんですか?」

「あぁ、その通りだ。イオダンはそういう男だったんだ。
 ぶん殴られた後はしばらく意識が朦朧としていたが、私はまだ彼が貴族だと思い込んでいた。マナー、服装、話し方、一つ一つの動作…。しかし運ばれてきたビールを一気飲みすると、袖で口を拭ってバカでかいゲップをした。一瞬で『貴族』から『野蛮人』に変わったんだ。そこから私たちはくだらないバカ話で盛り上がり、一気に打ち解けた」

「はぁぁ…叔父さん、結構豪快な人だったんですね」

「ラシーミル、君の叔父さんは本当に凄い人だった。あんな人は他には見たことが無い。達人だ。『自信』という武器を使いこなす真の達人だった」

「どういう意味です?」

「2人の衛兵が厳重に守るドアがあるとしよう。そして、君はその中にある宝物が欲しい。君の選択肢は色々あるね?我慢強くタイミングを見計らって忍び込むとか、衛兵と戦いドアをこじ開けるとか。けどどれも時間と力が必要だし、怪我をしたり最悪殺されるかもしれないだろう?」

「まぁそうですね」

「普通の人間ならそうだ。だがイオダンは…毅然とした態度で衛兵に開錠を命じ、堂々と入って宝を持ち去っていくんだ。さも当然かのようにね。
 とても賢く、物事を予測できていた。誰よりも十数歩先を行き、違う角度から世界を見ていた…そんな男だったんだ」

「……なんだか、信じられません。母から聞いていた話とはまったく違う。僕は叔父さんのことを全然知らなかった…」

「あぁ、そうだろうラシーミル。君が知らないことはまだまだたくさんあるだろう。イオダンの物語はまだ始まってもいないが、今日はもうだいぶ遅くなってしまったな。ここらでお開きにしよう」

「いやいや、勘弁してくださいよ。こんな良いところで終わるなんて。続きが気になってしょうがないですよ」

「わかったわかった。仕方ない、もう少しだけ話すよ…。
 そこでビールを飲んだ後、さらに2、3杯おかわりして、そのあとミードも飲んだかな。私たちは過去の話、夢の話、信念の話なんかをして…完全に酔っ払ってまたバカ話をしていた。
 次に覚えてるのは、シルクのベッドの上で目覚めたことだ」

「まぁ、あなたの家じゃなさそうですね」

「当然だ。シルクに触れることすら初めてだったよ。隣には美しい女性が裸で寝ていて…とりあえず逃げようと思ったんだが彼女も目覚めてしまった。彼女は私に軽くキスをすると、朝食を並べ始めた。…全部イオダンの仕業だった。彼がどうやって口説き落としたのか今でもわからない。あの時の事を尋ねると、彼は豪快に笑い転げるだけで…。
 その日、私はイオダンと一緒にジェレンバーグを後にした。初めて街の外に出て…二度と戻ることはなかった。
 イオダンと私が旅立って3年後、仲間が増えて5人になった。本物のチーム、血の繋がりを超えた家族だ。私たちは、自分たちを『ザ・リマインダー』なんて呼んでいたよ」


僕は、途中からすっかり興奮していた。僕の知らなかった叔父さんの過去に夢中になっていた。
「なんだか…凄い冒険をしてきたんでしょうね。そういうのめちゃくちゃ憧れます!僕もその場にいたかった…」

「おいおい、いつも楽しくて素敵だったわけじゃないんだよ。でもまぁ、それはまた別の機会に話そう。本当に遅くなってしまった。また明日、といってももう夜明けも近いが…日が昇ったらまたおいで。もっと話をきかせてあげよう」

「本当だ、空が少し白く…。じゃあ、今日は愛しの我が家に帰って寝ることにします。色々ありがとうございました」





ウニゴストと別れ、帰り支度を整える。
今日はなんだかすごい話を聞いた。叔父さんは想像以上の人だった。しかも武勇伝はまだまだありそうだ。…叔父さん、生きている時に会ってみたかったな。

一人になると不意に寂しさに襲われる。
涙をこらえ村を出ようとした瞬間、頭の中に声が響いた。

『……に…して…』

驚いて辺りを見渡す。人影はない…。
飲みすぎたのかな?
恥ずかしさと薄気味悪さを同時に感じつつ村を立ち去ろうとすると、今度ははっきりと聞こえてきた。

『自由にして…!』


この声は!?
松明を振り回し暗闇に目を凝らす。すると、足元に鈍く光を反射する何かが落ちていることに気づいた。








そこには、薪を割るのに使われたのであろうブロンズの斧が置かれていた。
村の共同備品なのか誰かの忘れものなのかはわからないが、籠の中に収められている。

『自由にしてくれ』

はっきりと聞こえる…。この斧が、本来の用途に使われるために懇願する声だ。
いやちょっと待て。確かに落ちている物だが、僕のモノではないだろう。
勝手に持っていくのは犯罪だ。『盗む』って表示されてるし。

だけど…ここで腐らせておくのが正しい事なのか?
斧は、木を伐るためのモノだ。薪の上に重ねておくモノではない。
木を伐る人の手の中に収まってこそ斧としての幸福が得られるのではないだろうか?
更にはその斧自身が解放を望んでいる。
何よりブロンズの斧とか超欲しい。今なら誰も見ていない。


これは、この日最後の仕事に相応しい―――。


















僕の名前はラシーミル。通称ラシトッシュ。
新たな人生、新たな道を切り拓く『開拓者』さ。
新天地に辿り着いたその日、僕は生涯の相棒であるブロンズの斧と出逢ったんだ。

これからどんな障害が待ち受けていようと二人ならきっと切り抜けられる。
さぁ、明日から忙しくなるぞ!!

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