>大昔のファンタジーで洞窟の奥ででかいドラゴンが金銀財宝守ってるみたいなんあるじゃん。
>あれっていつからなのかな、子ドラゴン時代はビー玉とか収集してたのが
>青年ドラゴンあたりでシルバーアクセに走り大人ドラゴンになって宝石系を集める度量がついてくるのか
>そもそも人ならざる生き物が人の作った金銀財宝きらきら集めるというのはつまりどういうことなのか。
>どっから仕入れてくるんかそれとも返り討ちにした戦利品を飾る感覚なのかそれともカラスみたいなもんなのか。
を自分なりに考察してみる。
たぶん適当に考えただけなので読む価値はない。
・そもそもドラゴンとは
まずは私の中の平均的なドラゴン像についてイメージしてみる
- ●大きさは人間の数十倍はあり、巨大なトカゲのような体
- ●大きな翼を持ち、自在に空を飛ぶ
- ●人語を理解し、人より格段に知能は高い
- ●火を噴き、魔術的な能力も使う
- ●人間などは国レベルで滅ぼすほどの強さ
- ●洞窟など暗い場所に大抵1個体で住む
- ●その鱗や血などは希少で強力なアイテムの素材だったりする
- ●RPGで言えば終盤近くに強力な敵かボスとして登場するか、何か助言めいた事を言いながら強力な補助アイテムをくれる
とここまでかいて気付いたのがドラゴン=財宝というイメージが私の中にはあまりないこと。
言われれば「あー財宝好き設定あるねー」と思えるのだけど、自由にイメージした場合そういったイメージが多分ない。
じゃあ他の作品におけるドラゴン像について考える。
まずは日本の一番代表的な、
タイトルにもドラゴンが入ってるRPG「ドラゴンクエスト」シリーズに出てくるドラゴンについて整理してみる。
(番号はシリーズナンバー)
- 1. 人の姿で現れ、一国の姫をさらい、昨夜はお楽しみでしたねする。世界征服を企み、現れた勇者に世界の半分をあげる優しさを見せるが、断れたため本来のドラゴンの姿に戻り、勇者との最後の戦いを挑む。
- 2. 特に登場しない。
- 3. 1の母親なる人型のドラゴンが重要なようなそうでもないようなアイテムをくれる。
- 4. マスタードラゴンなる天空の城に住む謎のドラゴンが助言をくれたような気がするが記憶が薄い。
- 5. バーテンダーの格好をしたおっさんの姿でトロッコに20年以上乗って遊ぶ。後半の乗り物。
- 6, 4.5と同一人物と思われるドラゴンの卵が出てくるが何もわからないまま終わる。それとは別に引換券を持って行くとやや強いトカゲ君が仲間になるがドラゴンかどうか不明。
- 7~ ドラ・・・ゴン・・・?うっ・・・頭が・・・
・・・ちょっとドラゴンクエストタイトルにした奴出てこい。
1はともかく、2で既にドラゴン出てこない(雑魚敵は除く)
7以降は何がドラゴンのクエストなのか小一時間。
それじゃあと、ファンタジーの雄・指輪物語のドラゴンについて調べてみる(ちなみに未読)
>中つ国における竜は、太陽の第一紀において初代冥王モルゴスが作り出した彼の被造物の最高傑作で、巨大な爬虫類のような形をした恐ろしい生物である。
>火を吐く火炎竜と吐かない冷血竜がおり、また翼のないものとあるものがある。火炎竜でかつ翼のあるものがもっとも恐ろしいとされる。
>性質は邪悪で、使い道もないのに財宝を貪欲に求め、それを山と積み上げてしとねとし、その上に眠る。その力は一匹で一国を滅ぼしてしまうほど強力である。また非常に狡猾で知力においても危険な存在であり、竜の祖グラウルングにいたっては妖術を駆使し人間の英雄トゥーリンとその一族を破滅に追いやっている。
(wikipediaより抜粋)
とまあ財宝好きとは書かれているが、なぜ財宝が好きなのかは理由がわからない。
しかし、ドラゴン=財宝好きというファンタジーにおける基本的な設定は、この作品が元になっている可能性が非常に高い。
・なぜ人は財宝が好きなのか
ドラゴンが、を考える前に、まずは人間がなぜ金銀宝石が好きなのかを考える。
ちょっと調べたが参考書類が少ないので思いつく限りだと、
- ●見た目の綺麗さ
- ●希少性
- ●神秘性
ぱっと考えてみたけど、別に私は宝石類にさほど興味がないので魅力についてはあまり浮かばなかった。
たぶん自己顕示欲とか独占欲とか、そういう俗物的な欲求によるところが大きいような気がする。
あるいはパワーストーン的な何か。ただし現代の科学的には効果があるわけではないから考えない。
・じゃあなぜドラゴンは財宝が好きなのか
とまあここまで色々書いてきたが結局ドラゴンが財宝好きな理由はわからない。
薄暗いダンジョンに一匹で棲むドラゴンに、自己顕示欲もないだろうし、
(まさかドラゴンだけが集まるサロンで定期的に服飾を見せ合って自慢したりはしないだろうしね!)
(だが地下世界に続く大穴の近くに城を構え、宝石を散りばめたような衣装で踊り狂う大トカゲ、貴様はドラゴンじゃないからノーカン)
独占欲は多少あるかも知れないがすぐに飽きるだろう。
神秘性などといったら自分の存在のほうがよっぽど神秘的なはず。
例えばドラゴンがトカゲ並みの知能なら話は早い。カラスと同じくキラキラ光るものが好きで片付けられるからだ。
ただ相手は人間より知能の高い高度な生物。それだけの理由で好きになるとはあまり考えたくはない。
じゃあなぜ好きなのか。
私の考えをいうと、それは「錬金術の研究のため」である。
・錬金術師ドラゴン
10mを軽く越えながら空を飛んだり、火を吹いたり(まさかドラゴンがチャッカマンのように可燃性ガスを吹いてるとは考えたくないので)
人と関わらないのに人語を操り、力があるのに生きるためにはそれほど必要ではない知能が高かったりetc、
それはドラゴンが自然な進化で生まれたモノでなく、物理法則を無視した存在だからである。
(指輪物語のドラゴンも人工生物らしいし)
時は中世。錬金術がまだ最先端科学として輝きを放っていた時代。
人々は鉛から金を作る方法に没頭し、万物を操る魔法を追い求め、理解を超える存在に恐怖する、そんな世界。
暗くジメジメとした巨大なダンジョンの奥深く、そのドラゴンは眠っていた。
自分がなぜ、どうやって生まれたかはわからない。
ただ、自分生きている間に、人間の作った国が数えられないほど滅んだという事実。
更に数えられないほどの人間たちが自分を倒そうと戦いを挑み、遂には傷ひとつ負わせずに死んでいったという事実。
そう、それほどまでに私はこの世界にとっても巨大な存在なのだ。
もうだいぶ古いことなので記憶は定かではないが、最初はただの好奇心だったのかもしれない。
カラスがキラキラ光るものを集める、動物としての本能だったのかもしれない。
どこかの貴族らしいその中年は、巨大な悪の討伐とかそんな名目で、体中に宝石を散りばめたおよそ防御など考えられてない鎧、
刀身は金製で、これまた派手な装飾された、私の硬い鱗には傷ひとつ付けられそうもないショートソード。
そのわりにその中身は明らかに運動不足で、金で雇われたらしい後ろの屈強な男どもに装備させたほうがマシなんかじゃないか、
などと一時の暇つぶしにもならない、今は私の足元に転がっている男。
人間の考えることはいつも浅はかで理解に苦しむ。
どうせ短い命なのだから、私の事など放っておいて、自分の生を全うすればよいのに。
そう、あの逃げていった後ろの男たちは正しい。
彼らは雇い主の事など帰ったら忘れていて、酒や若い女たちとの踊りを愉しむのだろう。
しかし・・・足元に転がった剣をみて思う。
人間たちはなぜ宝石や金などといったものに惹かれるのだろうか。
理解に苦しむが・・・しかし、なぜかこの輝きには何かを惹きつけるものがある。
最初はそう、理由はどうだったってよかったのだ。
長い人生の暇つぶしになれば、なんでもよかったのだ。
しばらくすると、といっても私にとってのしばらくという意味だが、不定期的ながら多くの人間たちが訪れるようになった。
あの逃げていった男たちのせいだろうか・・・。まあそんなことはどうでもいい。
相変わらず人間たちはどれも暇つぶしにはならなかったが、彼らの持っていた様々な物はいい暇つぶしになった。
様々な色に輝く金銀や宝石、人間たちの知識が詰まった本、魅惑の酒、私を倒すために作られたであろう発明品、などなど。
これは歴史書と言われる、人間たち自身の記録書で知ったことなのだが、
どうやら私は幾千年の長きに渡り世界中の人々を苦しめ、生贄として村一番の生娘を欲っし逆らえば滅ぼし、そうやって滅びた国は数えきれず。
その鱗は軽く丈夫で火からその身を守り、その血は不老長寿の薬となり、その髭は強靭な弓となり、さらに多くの金銀財宝を貯め込む。
どうやら人間にとって知らずにそういった存在にいつのまになっていたようだ。
私は軽く目眩がした。(実際には目眩などしないのだが)
いつしか人間たちが置いていった財宝は小さいながら宝箱から溢れ山となり、本は1つ棚が埋まるまでになった(棚は手先の器用な下僕のコボルドに作らせた)
本当ならもっと多くのガタクタと共に、捨ててしまっても構わなかったのだが、なぜかこの2つのものは捨てられなかった。
財宝は精巧な細工が施されたものが多く見てるだけで少しの時間は飽きず、様々な本は多少の暇つぶしにはちょうど良かった。
その本の中の一つに、今お気に入りの一冊がある。
何の革で出来てるかわからない真っ黒の、肌触りは悪く気味の悪い背表紙、タイトルはなく、他の本の中ではまさしく異端な存在。
中身も、今地上で暮らす人間たちの使っているもののではあるが、まったく意味をなさないであろうバラバラに配列された文字。
人間たちの間では「極東の錬金術師」とか「奇跡の魔術師」と言われていた老人が大事そうに持っていたものだが、
まさか本当に意味の無さない羅列であるはずはない、何かしら重要な意味を持つものだと思い、どうにか読めないものかと思考をめぐらす。
私は、その本を解読するために全力を注ぐようになったのだ。
幾度と無く月日は流れ、更に多くの財宝と、本が天井近く積み上がった頃、謎は解けた。
どうやらそれは、(なぜそんなことをするのか、まあ人間には常にそう思わせるのだが)
暗号化され書かれた、「錬金術」全て知識が詰まった本だということ。
そして、長くを生き、もうこの世界にさほど興味などないと思っていた私ですら惹きつけるとある項目。「不老不死の業」
錬金術といえば、卑金属から貴金属を作る業が有名だが、本質はそれではない。
「完全な物質を作ること」
その物質はあらゆる事を可能にし、金を作るのはその中の結果の一つでしかない。
この歳になってドラゴンは思う。
例えばそれが普通の生物ならば、相手を探し、繁殖という手段で生存すればいい。
しかしドラゴンは知っている。ドラゴンたる存在は自分一人なのだと。
生物としての本能からは逃げられないのだろうか。
世の法則には当てはまらない特殊な存在とわかりながらも、「生き残る事」は自然と求めてしまう。
今足元に転がっている青年。
身なりから察するに、彼もどこかの国の王子で、勇者と人々に崇められ、私という巨大な存在の前に散っていった、屈強な戦士。
そう、自分に初めてかすかながら傷を負わせた唯一の存在。
自分の寿命があとどれほどなのかはわからないが、折り返し地点はもうとっくの昔に過ぎた。
目の前の青年を見ると、そう感じずにはいられないのだ。
「このまま滅び行く存在にはなりたくない」
ドラゴンが錬金術に没頭するのも当然の結果だったのかもしれない。
幸い、道具は揃っている。
素材となる様々な金属。儀式や装飾品・触媒を作る宝石。知識たる本の数々。そして、一人の人間には到底使いきれることのない多少の時間。
自分自身が不滅の存在となるのもいいし、自分と同じような存在を新たに作るのもいい。
「存在していたい」
その思いだけが今やドラゴンの原動力といってもいい。
そして皮肉なことに、その思いが強まれば強まるほど、ドラゴンは人々から様々なものを奪い、人は更にそれを奪い返しに来る。そのループ。
貪欲なほどに、意味など無いのに財宝を集める存在、「ドラゴン」
そう考えると、ドラゴンと財宝は切っても切り離せない存在なのかなあと、きんぐうまみは思うのであった。
そういやダークソウルの白竜シースも書庫作って不滅の存在になろうとしてたよね。
ドラゴンに近づくだけで恐怖ロールはずるい
返信削除なるほど錬金術のため…。
返信削除ドラゴンはなぜ財宝が好きなのかなー?と長年疑問に思っていましたがなかなか良い考察が見れました。